鳥籠の中の黒鳥

小さな世界の小さな存在

心淀

 

自分しかすり減っていないようなそんな日だった 

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ルッキズムを具現化したような価値観のアスカと

共に "かわいい" を煮詰めた場所へ行くという自殺行為に及んだ末に

自分のせいだけれど 自己肯定感の急降下と

くだらない容姿へのコンプレックスが増しました

 

因みにアスカ(友人)は クラス一いや学年一の美女を名乗れる程の 容姿端麗さ を持ち合わせているのですけれど

そんな器を抱えながら いつも何かに悩んでいて

強いフリして本当はとても弱い 男だったら間違いなく守りたくなるような素敵な女の子です

私はそんなアスカがずっと好きで

ずっと憧れていたけど

今日はその魅力が 猛毒と化していました

 

いつの日からか

外見だけで図られる世界に嫌気がさしてしまって

そんな世界から 必死に逃れようとしている

今の私には

ずっとカメラを構えて 隙さえあれば自撮りをして

可愛い人を見つけては 上から下へじっと視線を下げて推し量っていくような そんな目つきが 私は怖くて堪りませんでした

 

 

幼い頃から

人より優れた見た目をもって生まれたなら

そこばかり褒められるだろうし

自分の良さが 外見だけだと錯覚してしまうのも

故に 外見への過大価値を見出してしまうのも

とっても自然なことであって

アスカは悪くない

日々アスカ自身の視野の狭さに憂う程  私には余裕がありました

 

でも今日はアスカの可愛さだけじゃなく

サンリオピューロランドという

可愛いキャラクターがテーマのテーマパークにいて

四方八方 目と鼻と口のついた可愛いキャラクターに囲まれて プラスアルファ 可愛く着飾った人達ばかり

子供の声と 人の多さと きっと情報過多で

脳のキャパシティが限界だったのだと思います

 

 

今日撮られた写真のほとんどが

私の目に光はなく 今にも泣きそうな瞬間ばかり

捉えられていて 少し笑ってしまいました

 

 

サンリオさんへの幼い頃からの苦手意識は

多分  ぬいぐるみのようなキャラクター

目と鼻と口のついた静止物が苦手なんだと思います

ただそこに深い意味はなく 漠然とした

恐怖症のようなものなのかなと

今まで向き合う機会も 気づくような瞬間も無かったので 知れていい機会だったなと思います

 

そんな苦手な空間の中で繰り広げられる

可愛いの総攻撃に 私は無抵抗にフルボッコ

グッズは最初に勢いで買ったカチューシャのみ  

ピンクのカレーはしぬほど不味くて

辛うじて家への手土産を買い 

定番のオリジナルキーホルダーが作れる場所に

一時間ほど並んでも 何故か作れる気になれずに

隣で作るアスカを鑑賞して終了

タイムアップ   惨敗でした(笑)

 

 

帰り道にクレープ屋さんに寄って

疲れた脚を休ませながら

迷わずサラダ系のクレープを選び食べているアスカを見て 私も気分的に惣菜系のクレープを選んでみたけれど これは予想外に美味でした

しかし当たり前に物足りず 甘美も食した私の隣で

今日撮った写真を加工したり "盛れた"写真を繋いで

ティックトックに上げたいようで

スマホ画面に向かって 編集に励むアスカは

私にはこの世界の歪みのように見えてしまって

更にそれを誇っていてくれればいいのに

「ともだちが作ってくれた」と動画タイトルをつけて

SNSに投稿している姿が 本当に辛くて

 

自分しか好きじゃないのに

自分を下げて 生きていられるなんて

 

お前が何人の人間の心を殺してるかなんて

想像もしたことがないような綺麗な笑顔で

 

ただ殺したかった

 

怒りとかではなく  存在を消したかった

 

私なんか自分の顔と目を合わせるだけで耐えられないのに 誰かと遊んでいるときにテンションが下がる瞬間は いつだって写真を撮るときで

 

誰よりも醜く 劣等感に溺れた愚か者で 

自嘲の顔は 語らずとも歪んでいて

 

 

きっと世界の歪みはアスカじゃなく 私のほうで

可愛くないのも 私のほう

 

 

哀しいよ

 

 

私みたいな人間が生きていてさ(笑)

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アスカのいいところは外見だけじゃないよ って

会う度に伝えていて

恩着せがましいだとか 鬱陶しいだとか

思われたとしても

いつの日かアスカの中身を心から好いてくれる

素敵な人と幸せになってほしいから

まずアスカが自分の中身を愛せるように

私は度々お節介を妬いてしまうのです

 

だけど 本当に今日は

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自分しかすり減っていないようなそんな日だった